それなり日記

映像作家、三宅美奈子の日記のようなものです。

書きっぱなし投げっぱなし

 

前回の続き。

minakomovie.hatenablog.com

 

茶店からカフェに移動。喫茶店とカフェの何が違うのかはうまいこと説明できないが察していただきたい。なんとなくあるでしょ、なんとなく。

 

次のカフェはメニューがわりと豊富で店内は薄暗く、時間を気にせずまったりできるところだった。そして何より、ポテトがある。これが大事である。

奥の方の席に座ったところ、ソファがめちゃくちゃ沈み込んだ。そこそこ行っているカフェだが、その席に座ったことがないので気がつかなかった。あまりにも沈むのでジタバタとしてしまう。

何度も座り直していたところ、何をやっているんだと笑われた。答えとしては尻の適切な位置を探していたのだが、結局は見つからなかった。不安定な尻。

隣にいるPさんは安定して座っているように見えた。ソファの問題ではなく私の尻の問題なのか。重力に逆らえなくなった扁平尻だからいけないのか?中年には優しくないソファだな。

 

私が尻に固執している間に、ふたりは粛々とメニューを決め始めていた。

さっきは珈琲を頼んだので、それぞれお茶だのオレだのを頼む。もちろんポテトも頼むし、サラダやら何やら小皿でアレコレつまむことになった。ふーん、女子会っぽいね。

いつもの友人に運ばれてきたカップの柄が素敵だった。彼女はそれを持ち上げてポーズを取り、Pさんが写真を撮っている。

楽しそうだなぁと眺めながら、いつもの友人はスタンダードな可愛い顔も出来るんだよな、と改めて感心する。伊達に顔筋を鍛えているわけじゃない。こういう顔をするための鍛錬なのだ。(勝手に言ってる)

 

そして我々は再び作業…とはならず、食事をしながら身も蓋もない話をした。(少なくとも私はこの尻の位置では作業する気にならなかった)

身も蓋もない話ってなんだ?っていうところだが、とどのつまり「アレがしたいコレがしたい」という欲望の赤裸々な告白である。

 

Pさんがアレをしたいから私に習いたいという。講座である。別に教えるもんじゃないのだが、過去の自分の気持ちやら考えやらを話す。話しているうちに自分で自分の過去を「それなりにネジが飛んでて面倒くさい」と思う。

もともと欲望のままに動く人間だし、特に昔は長生きすると思っていなかったため、なんでもアリだった。それゆえに、冷静に人に話すと苦笑いしか出ない。かと言って自分の過去を否定する気も毛頭ないが。

己の過去を否定したら、今の自分が消滅してしまう。否定ではなく、反省は5ミリくらいしてるけども。

 

Pさんには私のおかしな過去を参考にし、良い部分だけ吸収して新たな一面を獲得してもらいたい。などと、急に人生の先輩ぶった心持ちになりかけた。

うざい。誰だお前は。こうやって人は老害と言われるアレになるのだ。老害って言葉もなかなか酷いから、あまり使いたくないが。長く生きてればいいってもんでもないんだから、年長者ぶってはいけない。

違うんだよ、みんな好きなように生きたらいいんだ。私が言いたいのはこれだけ。

 

人のことなんでどうでも良いのだ。

みんなSNSのせいだかなんだか知らないが、周りを見過ぎだ。上を見ては羨ましがり、下を見ては「ああはなりたくない」と蔑む、みたいなことが散見される。

お前という人間は!どこに居るんだよ!フラフラすんな!

 

なんでキレているのかよく分からないが。とにかく、結局は他人の話である。親しい感情を抱いている数少ない人間以外は、先に書いた通り心底どうでもいい。

私は人のことなんて気にしている場合ではない。君たちはどう生きるか、と放り投げて終わりとする。

急なジブリで締め。たぶん駿はそんな意味合いで言ってない。

 

 

Pさんが店内に貼ってあったおかしなポスターを、写真に撮って見せてきた。「変だったから撮っちゃった〜」みたいな感じでウキウキした様子。私にはもはや小躍りしているように見えた。なんなんだ、いちいち可愛らしいから虐めたくなるな。

実際にはそんなにウキウキじゃなくて、単に面白いこと書いてあるよ!ってところなんだろうが、私のPさんを見る目にはデフォルトでキラキラ増しのフィルターが入っている。

とりあえず、カフェでいきなり虐めるのも人としてどうかと思うので「それ前に見たことあるなー」と極めて正常ぶった返しをしておいた。

 

虐めたいって言うと大層な感じだが、要は感情がヒュッと動く瞬間、みたいなものを採取したいのである。それを脳内にコレクションしておくと、辛い時や悲しい時に思い出して勝手に励まされるのだ。

笑ってる顔に癒される!とかそういうことではない。あくまでも感情が何かに刺激されて表出した一瞬、が好きなのだ。笑ってても怒ってても悲しんでいても良い。「あ、今動いた!」というのを出来るだけ、映像としてストックしておきたい。

だから楽しそうにしている時に虐めたくなったりする。感情の動く振り幅が大きくなるからだ。とかなんとか書いてるけど、感情を弄ぶのが好きな最低な奴ってことじゃないか。

 

でも極論ね、監督の仕事ってそれなんだ。

それが監督はおかしなやつが多いと言われる所以だと思うが、映像の中だけで変態性を出すべきだ。普段から見境なく他人の感情をコントロールしようとしてはいけない。それは人として終わってるやつのやることだ。

 

そんなこんなで、Pさんのことは観察をするにとどめた。

いつもの友人はPさんに顎を両手で持ち上げられたりしている。お互いを触ることに積極的なふたり。私は人に触るのも触られるのもそんなに得意ではないが、好きな相手を触るってのはいいもんですよね。

 

 

 

と、ここまで書いてずっと放置していた。我ながら変なところで切っているな。

ここからさらに我々は蕎麦を食べに行き、もう一軒喫茶店をハシゴするというツアーを開催した訳だが、もう詳細を忘れてしまった。前述とのバランスが取れないので、細やかに書けないと判断した後半部分は放棄する。

 

まさかの放棄宣言。でもさ、同じように書けないなら書きたくないんだよね。これが仕事だったら捻り出して書くんだけども、好きでやっているだけなので。

というか早めに書けばよかったって話ではあるんだが、どうにもこうにも不調なのだ。もう少ししたら復活すると思う、例年通りなら。スケジュール通りに不調になるのやめて欲しい。いや、不意打ちの方が面倒か。

 

 

人生の大半を謎の虚無感と共に生きてきたんだけど、季節や出来事によってその虚無感が大きくなったり小さくなったりするんだよな。鬱って感じでもないんだよ、虚無。というか穴。

昔はその穴が気持ち悪くて、埋めないといけないとか他のことをして気を紛らわせなきゃとか変に必死だったんだけど、今は諦めた。というか静観している。いや、静観というより傍観か。私の人生は本当に観察に費やされているな。

 

でも傍観しないと飲み込まれちゃうのでね。あとは仕事をある程度忙しくするのがいいと思うので、ちゃんと労働すべきだなと思ってる。来年からはいろいろと動く予定だし、自分の作品も粛々と進めますよ。

 

 

ひとまずあれに応募する企画書をだね...早く書かないと。あとロケハンもだ。

あっとういう間に年末になる気がするし、時間を無駄にしている場合じゃないな。

 

 

 

 

 

おまけ。

ceylonfamily.jp

 

これかなりお安く売ってるんだけど、ものすごい生姜で美味しかった。食感もサクサク軽くて食べやすいし。

私は虚無になってもお菓子は食べます。お菓子すら話題にしなくなったら心配してください。それは間違いなく危険です。よろしくお願いします。

初出

 

気温はまだ高いが、秋の気配だ。

私は秋になると調子を崩す。ありとあらゆる調子が崩れるのだが、主に肌荒れとメンタルである。すなわち秋の気配とは肌にアレルギー性のブツブツができることと、気持ちが鬱々して全てにおいてのやる気が削がれることである。ろくなもんじゃない。

 

美味しいものはたくさんあるし(芋とか栗とか)気候もちょうどいいし、紅葉とか風景も楽しめる季節だっていうのに、鉛を食べてしまったかの如く中心が重たい体を引きずりながら動いている。別に毎年のことなので慣れているし、そもそも性格が鬱々しているし、誰かのアドバイスや気遣いが欲しいわけでもない。(皆様方におかれましては、通常通りの接し方でお願いします)

ただ季節に振り回される自分が嫌になるのである。日本に四季があって良かったと思うが、なければいいのにと思う瞬間も多い。ただ純粋に季節の移り変わりを楽しめたらどんなにいいか。

 

そういえば、秋を感じる特徴的なことがもうひとつ。

毛がゴリゴリ生え変わる。もともと毛量が多く、ドライヤー後の洗面台が毛だらけになるタイプなのだが、秋は格段に抜け毛が増える。もちろん抜けるだけではなく生えるので、アホ毛が目立つようになる。

そんなに分かりやすく生え変わるのってどうなんだ。もはや野生動物なのではないか。

 

 

秋の話を始めてしまったが、今日は前回に引き続き、女3人無邪気に愛を育む会の話を書く。

無邪気は言い過ぎかもしれないが、我々のLINEはだいたい愛が叫ばれている。主に叫んでいるのはいつもの友人であり、呼応してPさんが叫び、私は観察しながら叫ばずに乗っかるくらいだ。

先日の『射精責任』のイベント後、グループLINEに会いたい、会いたい、の文字が飛び交った。あんなに長時間会って話していたのに、まだ足りないというわけだ。いつもの友人とPさんが会う約束をしていたので、私も参加することにした。会いたいか会いたくないかで言えば、会いたいのである。面白いから。

 

 

約束の日、またしてもアバウトに集合する予定だった我々はLINEで連絡を取り始めた。

私はその前に行くところがあったので、いつもの友人とPさんが先に集合することになっていた。しかし既に家を出ているPさんに対し、いつもの友人は「まだ家」と言っていた。理由は探し物である。出かける前に小一時間の探し物。しかも見つからなかったらしい。

と思ったら、今度はPさんが「電車でストールをなくした」とのこと。ふたりとも何か失くすのが得意なんだろうか。まぁ私も得意なんだが。そんなところはお揃いにしなくていいんだよ、いくらJKだとしても。(まだ言ってる)

 

ふと私は、ストールを持ってきたことに気がついた。PさんのLINEを読むまですっかり忘れていたが。夏は冷房対策のためにストールを持ち歩くことが多い。しかし念のためなので、使わないこともままある。私がいつも大荷物なのは、滅多に使わないものが入っているからだ。実に阿呆らしい。

私はPさんが袖のない服を着ているのではないかと予想し「貸すよ」と言っておいた。私はそれなりの長さがある半袖を着ている。おそらく寒くならないだろう。

 

一足先に着いたPさんは、ペットショップに向かったようだ。理由としては犬が可愛いから。そしてほどなくしていつもの友人も合流したらしく、写真が送られてきた。

子犬を抱いているいつもの友人の顔は、いつもの顔筋の動きだった。筋肉が上にいったり下にいったり斜めったり忙しい。別に比喩ではなく、本当に斜めになっている。たいていの人間は表情を作るのに上下左右で済まそうとするはずだが、彼女は違う。性格は真っ直ぐなのに顔筋は斜めに動く。

 

そんな写真を眺めるうちに、私も駅に到着したのでペットショップに向かった。

店内に入ると、子犬を抱っこしながら店員さんに接客を受けているふたりがいた。近づくと店員さんに「3人だったんですね」と言われた。Pさんが入店、いつもの友人が合流、さらに私が到着。増殖。ペットショップで待ち合わせるという謎。

そしていつもの友人が「違います、トリプル(©︎村田沙耶香)です」と言ったかどうかはご想像にお任せする。村田沙耶香さんの小説についてはみんな読んで欲しい。面白いから!

 

そういえば前にもこんなことが...と思ったが、私といつもの友人は香水の店で待ち合わせたことがあった。しかもそこで香水をあれこれ試したあげく、普通に別れたのだった。その時の記事はこれ。

minakomovie.hatenablog.com

 

我々はなんとなく集合で、普通はあまり待ち合わせ場所に使わないところで落ち合うのが好きなのかもしれない。

 

ペットショップを出ると、いつもの友人の服が風変わりなことに気が付く。なんとも説明が難しいのだが、ちょっとめくるとお腹が見えるのだ。Pさんは服をめくって笑っている。道のど真ん中で。みんなに見えるぞ?もはや見せたいのか。

いつもの友人はそんな変わったキャミソール、Pさんはピンク色のノースリーブだった。やっぱり袖がない。私の予想は大当たりである。ほくそ笑んでから、Pさんってピンク色が似合うんだなと思う。PさんのPはピンクのPから取った訳でははないが、それでもいいくらいに似合っている。

ちなみに私はピンク色というキャラではない。ビビッドなピンクなら着ていたこともあったし、むしろ髪の毛が赤髪からのピンク色に色落ちしていたことはある。(むしろ、ってなんだ?)だが、淡い綺麗なサーモンピンクなどは似合わない気がする。

 

Pさんは色が白いしね。もしかして眩しいのは肌の色の影響が大きいのか?などと思いながら、いつもの喫茶店に向かう。未だにPさんは眩しい存在である。でも前よりも盗み見している。直視ではない、盗み見。

流石に今回はいつもの友人も、「ここだっけ?」とは言わなかった。なんたって先週来たばかりだからね。先週とは違う席に通されたが、店員さんはまた同じ人でワンオペだった。だから、どうなってるんだ。休みの日だぞ。

 

我々はそれぞれ珈琲を頼んだあと、作業に入った。そう、この日は「作業をしよう」と決めていた。...先週もそんなこと言っていたはずだが。今回はそれなりに作業をした、気がする。

 

いつもの友人は、あることを思い出せねばならず、私とのLINEを見直していた。年がら年中LINEしているので、検索すれば色んなことが出てくるのである。私も結構やっている。便利な記録だ。

さらに我々は手紙を出し合うし、こうやって会ってもいる。手紙を書いている時にLINEが来て「今、手紙書いてた」と返信したりする。そんなに書いたり喋ることあるの?と疑問に思うかもしれないが、我々の会話に内容があることは稀である。お互いに脳内の言葉がダダ漏れなだけだ。

でもそんなに意味がない会話を延々と出来る友人って、そうは居ない。そして意味がない話の中にこそ、時々驚くような発見ってものがある。人にしゃべりながら頭の中が整理されるってことも多いし。そういうことにしとこ。

というかこの話、前も書いたような気がする。私もいつもの友人に負けず劣らず、すぐに物事を忘れる。でも前に書いたことがあったとしても、一字一句同じにはならないだろうしいいと思っている。

 

そういえば、この店でPさんにストールを貸したところ匂いを嗅がれた。私が香水好きなので良い匂いがしそう、という流れ。そしていつもの友人も嗅いで「石鹸の匂いがする」という結論に。ちゃんと直前に洗ったやつで良かった、危ない。家にしばらく放置しておくといろんな匂いがつくからね。

とか思っていたが…P子それ石鹸やない、香水や。出かける前、ストールにfogというところの『skin』という香水(布や空間用)を振りかけたことを思い出した。

https://www.instagram.com/fog___perfume/

ここの香水は精油たっぷりで作られているので肌にはつけられない。そのため、たまにストールにつけるのだ。確かに石鹸の匂いみたいで、少し甘く懐かしい香りがする。

 

『skin』っていう名前もいい。皮膚に興味がある私としては買わざるを得なかったのだ。皮膚に興味があるってなんだ、って話だが。

 

こういう方向性に興味があるのだ。でもこの本、重いし高いし難しそうだしまだ買ってません。そのうち読むよ...。

 

 

とにかく、Pさんが「ストールを洗った洗剤の匂い」だと思ったのか「石鹸の匂いがする香水」だと思っていたのかは分からないが、くっせぇな、と思われなかったようで安心した。それはfogってところの香水で、などと話始めるとオタクが露呈するだけなので何も喋らず黙っておいた。

しかしオタクが露呈するとかいう心配をする前に、3人とも変態が露呈しているので気にする必要はなかったかもしれない。

 

 

話が戻るが「節子それ〇〇やない、〇〇や」はネット上でよく見かける構文だが、初めて使った。今更使うのって寒い、と言われそうだがいいのである。「初めて」に意義がある。

最近、Pさんは自分が今までやったことがない方向性にチャレンジしようとしている。私はそれを超えていけ超えていけ!と囃し立てているが、私もこの恥ずかしい節子構文を使うことで現状打破を狙っていない。

そんなんで現状を超えていこうとは思っていない。どちらかというとP子って言いたかっただけ。P子って音も字面も可愛いから。でもおすぎの相方みたいになるので、Pさんって呼ぶ方がいいか。

「いない構文」を使うのは2度目だ。こっちも寒いので3度目はない。いない構文ってなんなんだ。そんなのあるのか知らないが。

 

 

我々は店員さんに促され、店を出ることになった。今までは特に促されなかったのだが、休日で混んでいるからだろうか。と思ったがそれなりに空席もあったので、ちょっと意味がわからなかった。店員さん、ワンオペだから疲れてるのか?だが我々は素直に二軒目へと向かうことにした。

お腹が空いたらしいふたりを、次のカフェへ案内した。そう、私が案内するのである。喫茶店フリークだから。マニアじゃなくてフリーク。マニアは「狂」だがフリークは「異常」だと捉えている。どっちもどっちだが、私の場合は喫茶店に狂っているのではなく、異常に喫茶店を利用する人間である。

 

と、ここまで書いて4,000字を越えていることに気がついた。

越えているのに全然一日が終わる気配がない。どうしましょ。どうしようもないので、一旦ここで締めます。ここからまだまだ移動したんだよな、我々。

 

 

 

 

 

 

おまけ。

秋の味!芋!甘い!

でもパッケージみたいな焼き芋が食べたいな。近所に来る焼き芋屋さん美味しいんだよな。

鯖落ち

 

前回の続き、3人でB&Bに着いたところからスタート。

 

minakomovie.hatenablog.com

 

お店の前に着いたはいいが、人が列をなしている。まだオープンしていないらしい。作家さんとか来ているのかな、などと思いながらふんわりと眺める。

ひとまず我々は近くのベンチに腰を降ろすことにした。この時、まだ3人で手を繋いでいたのでグルっと大回りをしてから着席。めちゃくちゃ目立ってるじゃないか。なんだろう、この大回りは運動会っぽいな。

...分かった、台風の目だ!みんなで棒を持って走る競技にちょっと似てる。この歳になってそんな動きを体験するとは。でもよく考えたら、いつもの友人は台風みたいな人間なので似合っている気がする。いや、似合うってなんだよ。どういうことだ。

 

そんな私の混乱をよそに、いつもの友人は「ああいう感じで並ぶの好きじゃないんだよね」と言っていた。確かにイベントのチケットは取ってある訳で、席がないということはあり得ない。もちろん良い席を取りたいということで並んでいるんだろうが、私もあまり並びたくない派である。Pさんも同意らしい。

こういうところで意見が一致したりするのは面白い。見た目も性格も違う3人だが、考えていることはわりと一致するし、感覚的に似ているので親近感はかなりある。そもそも大人になってから3人で行動することが少なかったのでかなり新鮮だ。

 

私は人付き合いが得意ではないので、仲の良い人は少ない。ご飯を食べたり出かけたりする友人はかなり限られている。たいして仲良くない人、というか興味のない人と会って緊張したりストレスを溜めたくないので、一緒にいてストレスフリーな人としか会わないようにしている。まぁ、それはみんなそうなのかもしれないが。

いつもの友人はストレスフリーな関係になってそれなりに長いし、Pさんに関しては興味しかなかったので、そもそも3人で会うことに抵抗はなかった。にしても、こんな感じになるとは。ちょっと前には予想できなかったことだ。

こんな感じっていうのは3人で手を繋いで、通行人にガン見される関係である。

 

だが、自分がストレスフリーだと感じている場合、相手がめっちゃ気を遣ってくれている場合もある。だから自分が楽だというだけの関係はよろしくない。ストレスフリーは相互でなければならない。

だから私は疲れるような気の遣い方はしないが、観察はする。観察はもちろん趣味であり職業病という側面はあるものの、相手が何を考えているか、どんな感情なのかを推し量ることで必然的に「自分がストレスを与えているかどうか」も見えてくる。相手がめちゃくちゃ隠す人間だと難しいかもしれないが、よく見ていればたいていは分かると思う。

意識的に観察しないと、どうしても自分の快楽を優先してしまう人間だからね、私。でも、家ではあんまり観察はしていない。家だとずっと考え事している気がする。

うちの人にはボケッとしてると突っ込まれるけど、ずーーーーっと考えている。答えの出そうにない人生の大きな問題とか、逆に日常の些末なやらなきゃいけないこととか、全部ごちゃ混ぜで考えている。そして時々、大事なことが抜け落ちる。別個で考えればいいのに出来ない脳味噌。

 

 

話を戻そう。ベンチで会話しているうちに、開場時間になっていた。

さすがに手を解いていた我々は、各々歩いてB&Bへ。汗臭い私の手とPさんの鯖臭い手が自由になっていた。そういえば、いつもの友人の手は何臭かったんだろうか。なぜか臭い前提で申し訳ないが。

スタッフにチケットを見せて店内に入った。まず席に着く前にドリンクを頼むシステムだ。私はジンジャエールを頼んだ。そのあとにふたりが、どうしようどうしようとキャッキャしながら、結局ジンジャエールにしていた。JKは揃えたがるよね。

 

まだそれなりに席は空いており、3人並んで座ることができた。

ようやく村井理子様とのご対面である。そわそわしてテンションが上がってしまう。いつもの友人が店の奥の方にスタンバイする村井さんを見つけ、教えてくれた。彼女もテンションが上がっているようだ。

 

トーク自体は、さすがの武田砂鉄さんという感じで軽快に進んだ。低い淡々としたトーンで冗談を言いながら村井さんに話を振っていく。

武田さんはめちゃくちゃ落ち着いて見えるのだが、私と同い年だった。私が精神的に幼すぎて見た目に出てちゃっているのを加味しても、この差はなんなんだ。どうしたらそんな雰囲気を醸し出せるのか謎だった。人生経験なのか?

村井さんもワードチョイスが面白く、かつ真面目に分かりやすく本の話をしてくれた。特に「自分の世代で終わりにしたい、渡したくないバトン」みたいな話は、心の中で首がもげそうなくらい頷いた。

私も自分より下の若い人たちに嫌な思いをして欲しくないと、切に思っている。目の前で話を聞けて、心から来店チケットにして良かったなぁと思った。

 

そんなトークの最中、いつもの友人とPさんは手を握っていた模様。なんだ抜け駆けか?...とまでは思わないが、愛が溢れすぎなんだよ。そしてトークが終わったあとは、おふたりのサイン会へ突入。これも来店の醍醐味である。

この日、私といつもの友人は村井さんへのお土産を持参していた。イベントの数日前、いつもの友人が「村井さんに何か渡したい」と某所に行こうと悩んでいる時、たまたま私も某所付近に居た。自然と合流する流れとなり、一緒に悩んでお土産を買ったのだ。

いつもの友人は満を持して村井さんにお土産を手渡し、自己紹介をして盛り上がっている。村井さんはいつもの友人のことをSNS上では認識していたので、「やっと会えたね」状態である。(いや、これは辻仁成が完全に初めて接触したミポリンに言った言葉だから、使い方が間違っているか?)

私もヘラヘラと「一緒に手紙を入れておきました」と曰う。私は人見知りなので、こういう時に全然喋れない。へへへへ、と気持ち悪い笑いで逃れようとしてしまう。本当はめちゃくちゃテンションが上がっているんだが。いい歳なんだから、もう少しちゃんとしたい。

 

Pさんはというと、私が千切って渡した紙にサインを書いてもらっていた。かなり小さな手帳の紙である。そのサインは手帳に挟むらしい。

私が常日頃持ち歩いていた紙に好きな作家さんのサインが入り、そしてPさんの手帳に挟まる。うん、いいね。そういう流れは好きだ。何がって言われても言語化は面倒だからしないけど、好き。そう言う趣味なんだわ。

千切るで思い出したが、Pさんは文芸誌を千切って持ち歩くらしい。読みたいところだけ持ち歩けば軽いからだ。いつもの友人もやっているとのこと。あ、いつもの友人が先にやっていたという話だったかもしれない。まぁどちらでもいいが、私もやってみようかと思う。

通常の本を千切るのは憚られるのだが、文芸誌は雑誌だ。雑誌を切り抜いたりすることはよくある。重いからと言ってなかなか読まないより、千切って持ち運んで読む方が誠実な気がしてきた。良き学びだ。

 

 

イベントが終わり、ホクホクしながら駅へと向かった。

相変わらずいつもの友人とPさんは手を繋いで、全世界に自分たちの愛を見せつけようとしている。手が鯖臭かろうと汗をかいていようと気にしないのが愛だと言わんばかりだ。何か見つけちゃったんだろうな、そういう愛よりも確信めいたもの、絶対的な感情の居場所みたいな何か。という、私の観察結果。

そして、ふたりとは路線が別なので私だけさようならの時間となった。Pさんが手を出してきたので握り合ってから別れる。鯖臭い手と汗臭い手の邂逅、再び。お気づきだろうが、さっきから鯖臭い手って言いたいだけである。

 

私は改札を抜けて、トイレへ入った。

手を洗う直前、握り締めたPさんの手を思ったが、さすがに匂いは嗅いでいない。石鹸を泡立てながら「全部落ちちゃったな」と思った。果たして何が落ちたのか。鯖の匂い?Pさんの常在菌?握り締めた感触?いずれにせよ、気持ち悪いことを考えているには違いない。

でも気持ち悪いことを常に考えていないと、映画なんて撮れないんだよ。(暴論)

 

 

そんなこんなで、長時間の会合は幕を閉じた...はずだった。

まさかその翌週も集まることになるとはね。

 

 

 

 

 

おまけ。

このブログは登場人物に監視されています。更新を急かされます。私の日記なのに!

友人とランチをしました。この記事とは別の友人です。

でもこちらの友人もとても面白いので、そのうち記事に登場させようと思ってます。

 

マインドはJKで下北沢を練り歩く

 

『射精責任』という本をご存知だろうか。

タイトルが攻めているなぁというのが、たいていの人の感想だろう。私もこれは清々しいなと思ったし、変な方向から攻撃されそうだなとも思った。

 

私はこの本の翻訳者、村井理子さんのファンである。村井さんのエッセイ、翻訳した本、そしてSNSを読み漁っている。ということで流れるように予約、速攻で読んだ。

読んだ感想は当たり前のことが書いてあるなということと、過去の経験を思い出してちょっと具合が悪くなった。まぁ詳細は割愛するが、身に覚えがあることがありすぎる。そして男性にこそ読んで欲しいが、読んで欲しい人に届けるにはどうしたらいいんだろうかと考え込んでしまった。特に答えは出ていない。

届けたい人たちにはなかなか届きにくい、というジレンマ。意外とそういうことって多いよね。

 

 

そして、この本の関連イベントとして下北沢のB&Bで村井理子さんと武田砂鉄さんのトークが開催されることが決まっていた。私、いつもの友人、Pさんは揃って来店チケットを購入した。いつもの友人も村井さんの大ファンである。

このふたりとの会合は過去記事にたくさんあるので興味がある人はどうぞ。

 

minakomovie.hatenablog.com

 

minakomovie.hatenablog.com

 

 

この日、我々は喫茶店で待ち合わせをした。といっても時間はアバウトで、なんとなく集合しようという流れ。LINEで連絡を取り合っていたのだが、私は昼食を食べ損ねていたので「ポテトを食べてから行くわ」と送った。もちろんマックのポテトである。マックのポテトは本当に食べたくなる頻度が高い。

 

2階の席を確保して注文しようと並んだが、なかなかの行列だった。LINEを見るとふたりも食べたい食べたいと言い始めている。たかだかマックのポテトに、女子高生並みの同調っぷりである。そう、最近の我々はJKっぽさがテーマである。なんのテーマかは知らないけど。生き方で合ってる?

 

ということで集合場所がマックへと変更。いつものように3人座れる席を探さねば。

そして私はポテトのMサイズとコーラのSを注文した。コーラのSが出てきたが、こんなに小さかったっけ?高さがストローの半分くらい?とか考えながら、3階の席を見に行く。すると余裕で座れる席を発見。私はいつも席取りおばちゃんをしているので、確保できて安心した。いや、おばちゃんって言っちゃだめだな。席取りJKである。

 

なんやかんやとふたりも駅に到着した模様。というか同じ電車だった模様。で、降りた途端のいちゃついた写真が送られてくる。Pさんはいつもの友人に激写され、笑っている。なんなんだこの空気感は。親密だな。あとPさんはやっぱり発光してるな。

 

親密っぷりはいつものことなので写真を流し見しながら黙々とポテトを食べ、ふたりの到着を待つ。そしてふたりがデカいポテトを持ってやってきた。いつもの友人はLサイズを頼んだと言うがPさんはMだと言う。

いや、それは絶対Lだよ、私のMなんだから...と比べるとやはりデカい。Pさんは絶対に食べきれないという確信を全員が持った。みんなで食べるか。JKだし。(JKのイメージが雑)

 

Pさんは朝ごはんとして鯖缶を食べたらしい。手が臭いということで、嗅いでみたら本当に生臭かった。そしてPさんは鯖を食べたことで胃の具合が悪いらしく、すぐにポテトが入らなくなっていた。というか、前も鯖サンド頼んで辛そうにしてた。その時のことは下記の記事を参照。

 

minakomovie.hatenablog.com

 

なんで得意じゃないのに鯖を食べるのかと問うと、挑みたいとの回答だった。

鯖に?挑んで勝ちたいと?食べている時点で勝ちではないのか。こちらは捕食しているから勝ちかと思いきや、鯖は死んでなお脂でPさんの胃を攻撃してきて負けるらしい。

正直なところ世の中にはもっと挑んで勝つべき事柄がある気がするのだが、キラキラと発光したビジュアルで手先や口が鯖臭いのは面白いなと思ったので黙っておいた。みんな知っていると思うが私は意地が悪いし変なギャップに萌えるので、そういうのはそのままにしておく主義だ。というか面白い人間には面白いままでいて欲しいだけ。

 

ちなみにいつもの友人はこの日、真っ赤なワンピースを着ていた。なんなの射精責任の表紙コーデなの?となったが、基本的に赤い服が多いことを思い出した。

ただえさえ動きもビジュアルも目立つタイプなのに真っ赤な服。でもこうやって彼女が人の視線を集めてくれるおかげで、私はコソコソと隠れていられる気がする。これからも目立っていてください。(ただのお願い)

 

 

結局Pさんの残したポテトを私といつもの友人で食べ尽くし、予定していた喫茶店へ向かった。階段を上りながらいつもの友人が「あれ?前に来たのもここだっけ?」とか言っていたが、どう考えてもここである。そもそも私は喫茶店が大好きなので間違う訳がない。

いつもの友人はいろんなことをすぐに忘れがちだが、ある意味いつも新鮮味があって楽しそうだな、と思う。大事なことまで忘れることもあるようだが。(それは私もやってしまう)

 

店の奥まったスペースの、広めの席に通された。それなりの広さかつ週末なのに店員さんワンオペ。どうなってるんだ...と思いながら着席。

いつもの友人はメニューを見ながら「これ、どういうことだっけ?」と聞いてくる。珈琲豆の種類がたくさん書いてあるので、説明をした。そりゃあ店の場所も忘れてるんだから、メニューなんてもってのほかだろうな。いやむしろ、この店に関して覚えている事柄はあるんだろうか。

Pさんは鯖にもポテトにも敗北したのに、この後に及んでケーキを頼んでいた。なんだか分からないが、さらに私がPさんに敗北した気分になった。だって私はお腹おっぱいでケーキなんて食べようという発想にならなかったのだ。やはりPさんは非凡である。

 

いつもの友人に、その服に合わせたかのような真っ赤なカップ&ソーサーが運ばれてきた。私は当たり障りのないアイスコーヒーで、Pさんは紺色っぽいカップと緑色の抹茶シフォンケーキ(クリームと小豆添え)という感じで、卓が華やかになった。

我々は「それぞれ作業をしよう」と言いながらiPadを広げたりしたのだが、結局しゃべり倒した気がする。仕事してる風の写真だけは撮った。してる風で、村田沙耶香作品の話をしたり、Pさんの仕事の話をしたり、いつもの友人の過去を振り返ったり、私は香水を褒められたのでドヤ顔したり、あっという間に17時前になった。

 

 

今日の我々には、射精責任のイベントだけではなく美味しい蕎麦を食べに行くというミッションがあった。その店は17時開店なので、それと同時に行くことに決めていたのだ。

前にも行った美味しい蕎麦屋の前に来て、並んでも居ないし空いてそう?と思ったら、まさかの夏休みという貼り紙が。ということでお店を変更。いつもの友人が知っているお店にしようと、電話をかけてくれた。

いつもの友人が電話をかける時の声のトーンは、普段の喋り方を知っている私としては面白い。まず高音になるし大きくないし、可愛い声になる。一般の女子って感じだ。常識を感じさせる声が彼女から発せられると「この人も社会で生きているんだなぁ」としみじみする。

 

私がしみじみしている間に、その蕎麦屋に空席があることが分かったので歩き出した。

よく考えたらまだポテトが胃を占有しているので、食べられるのか不安になった。というかPさん大丈夫か?いつもの友人は、蕎麦に関してはめちゃくちゃ食べるので大丈夫だろう。なんてことを考えながら、お店に到着。

 

私といつもの友人は鴨の蕎麦、Pさんは辛味大根おろし的なものを頼んで食べた。この店でのPさんのチョイスは妥当だった。急にちゃんとあっさりしたものを頼むのやめなよ常識人じゃんって思ったが、Pさんが「辛い!これ結構ちゃんと辛い!」と驚いていて可愛かったので、苦言を呈するのはやめた。可愛さは全てを凌駕する。

いつもの友人は大盛りを頼んでいた気がするが、私よりも早く食べ終わっていた。その体のどこに、その量の蕎麦が収納されたんだ。私はちまちまと蕎麦を啜りながら、最近あすけんの女にカロリーを報告するのをサボっていることを思い出した。思い出しただけで、この日もサボったが。

 

その店では何故か男性芸能人の話で盛り上がった。誰がかっこいい、みたいな話。さすがJKだよね。

相変わらずPさんは嫌いな人の話をする時に分かりやすく顔をしかめる。声も悲鳴みたいになったりする。素直すぎ。その芸能人が嫌いなんだぁそうかそうかぁ、と学習したところでイベントの時間も迫ってきたので店を出る。

 

我々は店を何軒ハシゴするのだ...と思いながら歩いていると、いつもの友人とPさんが手を繋ぎ出した。どうやらみんなに見せつけたいらしい。というか、まず私に見せつけてくる。そしていつもの友人は「みんな見てくれない」と文句を言っている。そもそも人通りが少ないところなんですけどね、と思いながら「3人で繋いだらみんな見るんじゃない?」と提案した。

してから若干「しまったな」と思った。いや、提案したら即やる人たちじゃん。せっかく目立つ人を隠れ蓑にしていたのに、自分から加わってどうする。しかも私の隣はPさんである。必然的にPさんと繋ぐことになる。え、この汗臭い手を繋ぐわけ?

と、実際には逡巡する時間をほとんど与えられず、手を繋ぐことに。真ん中にPさんという並びだったが、単純に両手が塞がって不便じゃないの?と思った。私はすぐ顔が痒くなったり、髪の毛が邪魔になったりして触るので無理だな。

しかし、手を繋ぐとかJKの時もやってないぞ。無邪気か。提案しておいてなんだが、3人で繋ぐというのは決定的に何かがおかしい。でも、おかしな3人だからちょうどいい。

 

そして私たちはB&Bへと下り坂を突き進んだ。相変わらず人は少なめ...と思いきや、なんか子供向けのお祭りをやっている。

その人混みで何人か、というかわりとみんなが見てくる。いつもの友人とPさんは出店に気を取られているようだったが、私は周りの視線の方に気を取られた。なんなら真ん中に位置していたPさんはつま先から頭までガン見されていた。

Pさんが発光してるからって舐めるように見るんじゃないよ不届きものが、と思いながら「でもこの人たちは見せつけたいんだもんな」と思う。じゃあ仕方ないか、いや、でも今の視線は性的な視線が混じっていて不純だった...やっぱり不届き者..。

というところでB&Bに到着した。そう、今日は性的なお話を聞くのである。真面目に性の話。

 

 

 

 

 

だめだ、やっぱり長くなるな。色々と端折ったけど、単純に会ってる時間が長すぎる。

各所からせっつかれたので、ここまでで一旦アップします。せっつかれるって何よ。何事なんだよ。

 

 

 

 

 

おまけ。

「ヘルシーっぽいランチ食べてる」って写真を送ったら、いつもの友人に「生意気」って言われて爆笑しました。

そうなの、私は生意気だからいい感じのヘルシーランチ食べてあすけんの女に報告するの。

デロデロと越えてゆくひと

 

『甲斐荘楠音の全貌』を観に東京ステーションギャラリーへ。

 

私はこの人の描く女性の肉感が大好きだ。西洋の裸婦なども肉感的だが、正直ピンとこないものが多い。それが人種が違うことによるものなのか、それとも別の理由かと自問自答していたところ、ひとつの解に行きついた。

処女性、神格化(というより聖母化か)、または逆に所有物化しているものは好きじゃないということだ。西洋の場合は宗教の影響が多少あるかもしれないが、とにかく西洋だから云々というよりも女性をどう見ているかということが、私にとっては重要らしい。

それはそうだ。現在の私は女として生きているのだから。

 

そういう持ち上げてしまった芸術よりも、そこいらに転がる渇望、畏怖や畏敬の念、性の猥雑な空気が見たい。それが人間だと思うから。

処女信仰なんてしょうもないと思っているし、男側から見て「手に入ったもの」を描かれても「ふーん(それ手に入ってないしキモいと思われてるよ?)」という感想になってしまう。

そんなものより、馬鹿みたいに肥大した欲望をぶつけている様とか、対象が得体の知れないものに見えてしまう恐怖とか、聖なるものじゃない性の交わりの方がよっぽど見ていて楽しい。

完全に好みの話なので逆のものが好きな人が居たっていいし、そういう絵画がすべからく駄作だとか批判してるわけではない。念のために書くけど。

 

それで、甲斐荘楠音に関しては明らかに私が求めている描き方なんだと思う。女性の体つきがあまり整っていない。むしろ、バランスの悪さに盛っている傾向がある。

さらに自分で女装をして資料を作ってまで描いており、ストレートに自分を投影したのか、ふくよかではないタイプの絵もあった。

これは本人の欲望を満たしながら描いたのかもしれないが、過去に「性別は揺らぐ、性別は感覚的」という時期があった私には、このやり方は単純に好ましいものに映った。

 

ぱっと見でとにかく美しいなぁという絵もあったのだが、それらは試行錯誤の上でそうせざるを得なかったように見えた。どうやら一般に受けなければいけない事情があったらしい。たぶんキャプションだかどこかに書いてあったが、詳細を忘れてしまった。

だが本人も美しく描くこと自体は嫌いではなかったんだろうか、煌びやかな作品群にも確かな吸引力があった。(...なんかこれだとダイソンっぽくて辛い、書き直さないけど)

 

本質的には『デロリ』であって、煌びやかな表現や上品かつ派手な映画衣裳など、あちらこちらと巡った結果、未完の大きな作品へと繋がっていったように思う。

デロリについては下記を参照のこと。

https://artscape.jp/museum/nmp/artscape/recom/9910/fukushima/kido.html

 

「絵画、演劇、映画を越境する個性」という展示のサブタイトルがついていたが、有り体に言えば性別も越境しているということなんだろう。本人が女装をしたからという意味ではなく、女性へのまなざし、別の性への興味という意味で。

もちろん越境できているかの判断は、観る方に委ねられているとは思う。境目を越えるということがどういうことなのか、この展示を観て改めて考えている。

それを考えることはとても大切なことである気がするのだ。(今の私にとって)

 

 

いろいろと書いたが、結局のところ私は生々しさを求めてしまうんだろう。特に絵画には。

手法は違えど、肉体や精神のおどろおどろしい感じが溢れ出てしまうものが好きだ。そういう感触がないと「信じられない」のだ。芸術において信じられるかどうかって、かなり大事だと思う。

 

 

蛇足だがミュージアムショップでお香を買った。香りものが好きなので流れるように買ってしまったが、これがとてもいい。

 

「肌香。匂いが溶けてゆく。流れる匂い。」という、甲斐荘楠音がスケッチブックに残した言葉から着想を得て作られたということだ。

焚くと粉感がある白檀の香りがして、残り香はほんのり甘い。絵画の中の女性から漂うような香りで、いい企画だと思った。

 

願わくばもっとデロリとした香りのお香も作って欲しい。不穏な香りのやつ。...それじゃ誰にも売れないか。ま、私は買うけどな。

 

 

 

 

 

おまけ。

昨日の昼から三食カレーでした。別になにも問題なかった。

魔界・後編『夜が足りない』

 

ブログでも書こうかな、と思いながら珈琲を淹れるためにティファールのポットに水を入れたのち、なぜかコンロの上にセットしてしまった。

「あ、これTwitter(当時)で見たやつだ」と笑えてくる。ちょっとだけ火をつけたい欲求に駆られたが、さすがに大人なのでやっていない。珈琲は無事に美味しく淹れることができた。

TwitterはXとなり、リツイートはリポストとなったようだが、私は相変わらず平常運転だ。

 

さて、今回はようやくサイゼリヤという魔界、後編である。

これを読んで楽しいのは身内だけかと思うが、もしかしたら面白がってくれる人もいるかもしれないので公開している。スターを付けてくれる人たちに感謝。

 

しかし、この日の出来事をこんなに分けて書くことになるとは思わなかった。

前編と中編はこちらからどうぞ。

 

minakomovie.hatenablog.com

 

minakomovie.hatenablog.com

 

 

サイゼリヤを出た我々は「もう一軒行けるだろ」のノリだった。ノンアルなのにもう一軒。なんだろう、高校生より元気かもしれない。

とはいえ夜の22時である。どうしようか...と思っていたら、うちの人から電話がかかってきた。うちの人はその日、地方へ行っていたので家にはいなかった。電話に出ると夜中に帰宅するとのこと。ほっほー、じゃあまだ帰らなくてもいいかな。などど思っていたら、いつもの友人が「代わって!」と言う。

電話を渡すと、許可取りを始めた。もう一軒行っていいかの確認だ。いい歳した私の帰宅時間を気にしての許可取り...そう、私は誰にでも心配される。うちの人は私の帰りが遅いと心配をするし、いつもの友人は「うちの人を心配させること」に関して心配する。心配の連鎖。

 

何度でも言うが、私はいい歳をした大人なので、夜が遅かろうがなんだろうが平気である。だいたい住んでいる地域は治安がいいし、さすがに終電を逃すようなヘマもしない。大人だから最寄りからタクシーを使ったっていいし、防犯には諸々気を使っている。

だが、夜遅いということは心配に値することなのだろう。女だからか?それもあるにはあるだろうが、結局は「私だから」のひとことに尽きる。見てて不安がられる女こと私。分かっているなら、もうちょっと頑張って生活したほうがいいと思う。

...やっぱり武術でも習うか。

 

で、いつもの友人とうちの人は面識があるし、うちの人からすると「私と仲良くしてくれる稀有な人」認識なので、スルッと許可がおりたようだ。「アルコール一滴も飲んでないんですけど、2軒目行っていいですか?」という言葉も効いたかもしれない。アルコールというのは人を狂わせるので(実体験)。

 

晴れて許可もおりたということで、2軒目はPさんが決めてくれた。居酒屋で、個室ばかりのお店だ。とはいえ我々にアルコールを入れる気は毛頭なく、サイゼの続きというノリ。今の我々にアルコールというドーピングは要らないようだ。

歩きながら、Pさんはいつもの友人の二の腕を触り始めた。気持ちいい、と何度も言っている。ようやく調子が出てきたね、触っとけ触っとけ、と他人様の二の腕を見ながら思う。いつもの友人の二の腕は、もはや彼女だけのものではない。

 

後日談だが、Pさんに「いつもの友人の二の腕は、どんな触り心地なのか」を尋ねたところ「ニベア」と返ってきた。ニベア、青い缶のあれだ。まずニベアと聞くと匂いが先に思い浮かんでしまって、触り心地がパッと出てこずに悔しい思いをした。もちもちしっとり、ってところではありそうだが。

私はニベアの匂いが苦手である。吸い込むと鼻の粘膜や内臓が膨張しそうな匂いで、なんだか苦しくなってしまう。その昔、ニベアパックが流行った気がするが、あれを顔に塗りたくるなんて狂気の沙汰だ。と思うくらいには苦手なため、良い意味で表現された「ニベア」が掴み取れずに悲しい。匂いが苦手だから買ってきて塗るわけにもいかないし。

 

ニベアじゃなくて、いつもの友人の二の腕そのものを触ればいいのだけなのでは?と言われそうだが、それはなんか違う。「ニベア」と表現したPさんの心みたいなものも一緒に味わいたいので、二の腕だけを味わうのとは全然違うのだ。

二の腕を味わうとか、また気持ち悪いことを書いている。私は特定の事柄への執着が激しく、こだわりが強いためにこういうことを考えだすと止まらない。困ったものである。

 

 

では、話を戻そう。

居酒屋がある建物に着くと、エレベーターに乗り込んだ。その建物はなぜかテナントが撤退しまくっており、大丈夫か?コロナがそんなに大変だったのか?と一抹の不安を覚える。

居酒屋のあるフロアに着くと、帰る人々に遭遇する。これならサクッと入れるだろうなと思い、入店して店員が来るのを待った。が、一向に来ないし見当たらない。それなりの広さの店に見えるが全然いない。客はたくさんいるが、どうなっているんだ。

いつもの友人を先頭に、奥の方に進んで店員探し。なぜ客側がズンズン進まねばならないのか...そして、こういう時に先陣を切るタイプなのがいつもの友人で、後方を見張るのが私だ。性格が表れるね。

 

そしてとうとう見つけたが、ここでその店員さんが思ってもみない言葉を発した。

「さっきラストオーダー終わっちゃったんです」

うーん、23:30までやっているはずなのに?22時にラストオーダー?もしかしてあれかな、人手が足りなさすぎて大変なのかな。我々は察しがいいので、ごねるわけでもなく外に出た。さっき乗ったばかりのエレベーターに乗り込み、下階を目指す。

 

そして「もうここでいいじゃん」と入ったのは、まさかの某ファミレスだ。ファミレスのノリでいたとはいえ、本当にハシゴすることになるとは。もはや、ニベアより狂気の沙汰かもしれない。でも入れればなんでも良くなっていた我々は、意気揚々と入店。

 

当然のようにスムーズに席を確保でき、安心する。

Pさんがテーブルにあった「猫型の配膳ロボットが来ます」の案内を見て、「これが来るの?」とちょっと嬉しそうにしていた。何その可愛い反応は。私なんてそのロボットにぶつかりそうになって、恥ずかしい思いばかりしているというのに。

あれ、みんなぶつからなくて偉いなと思う。もしかして私、ロボットだと何か感知できなくて避けられないんだろうか。単に人よりも背が低いからだろうか。もしくはロボットって、動く方向が予測しにくいからかもしれない。でもよく考えたら、動かない電柱にすらぶつかりそうになるので予測は関係ないか。

人はね、だいだい避けられるんだよ、本当に。

 

そして我々はドリンクバー3つとポテトフライ、私は前菜をひと皿、いつもの友人は麺、Pさんは和風の定食を注文した。ふたりが思ったよりガッツリ食べようとしている。大丈夫かなぁと思いつつ、よく考えたら時間もあまりないことに気がついた。居酒屋で時間をロスしたために、駄弁る時間が減ってしまった。

かくして我々は、まず注文した品が遅くならないかでソワソワし、届いたら届いたで早食いをする羽目になった。我々というか、いつもの友人とPさんだが。

さらにここでPさんが「臭い」と言い始めた。どうやら焼き魚が臭うらしい。この気温なのでまさか悪くなっているとか?と思っていたら、いつもの友人がそれを嗅いで「こういう魚だよ」と言い放った。

こういう魚、か。つまり「臭い」に関しては否定されていない。なので、私も嗅いでみようかと思ったがやめておいた。

 

いつもの友人もPさんもポテトフライが好物のため、そればかりが減っていく。しかし、夜更のポテトフライは美味しい。ポテトフライ、もしくはポテチ。しょっぱくてカロリーが高いものを夜に食べる、というのは軽く背徳感がある。翌朝に残るのは後悔だったりする訳だが。

 

それぞれが一生懸命食べていたため会話の内容をほぼ忘れてしまったが「コロナに終わりコロナに始まる」話をした。そして我々の生活に影響を及ぼしたコロナとは一体なんだったのか、ということについて議論しなかった。

突然しなかったことを書いて申し訳ないのだが、プライバシーである。

 

 

なんとかかんとか食べ終わり、駅に向かわなければならない時間となった。

今度はノールックで伝票を渡されることも、間違えて一万円札が出てくることもなく、すんなりと会計をして店を出た。電車に乗らなければならない、という使命感は人をシャキッとさせるのかもしれない。

 

そしてそれぞれの道を帰りながら、またすぐにグループLINEが動く。

なぜか私とPさんがそれぞれ腹痛に襲われ、臭い魚のせいではないかという疑惑が沸き起こる。(私の腹痛はたぶん前日の飲酒に起因するものだ)

さらにいつもの友人は「頭ポンポン男」を見てしまい、噛み付いてやりたいと言っていた。それほどに我々にとっては嫌な行為なのである。彼女の言いたいことは分かるが、客観的に見ると「頭ポンポン男」よりも「見ず知らずの男に噛み付く女」の方がアウトなので「許可」と送った。

もちろん、アウトな方が面白いからである。噛みつかれる方はたまったもんじゃないだろうが。(冗談だ、彼女は実際には噛みつかない。やりかねない勢いはあるが)

 

あとPさんに「川端康成の『片腕』みたいに、いつもの友人の腕をレンタルしたらいい」と言ったら「レンタルじゃなくて買いたい」と返ってきた。売買。

ちなみに『片腕』は川端康成の変態性大爆発、みたいな小説なのでもっと広く読まれてほしい。気持ち悪いが、とても良い。田山花袋少女病と双璧をなすヤバさだと思っている。

 

ja.wikipedia.org

www.aozora.gr.jp

 

と、我々の魔の会合をうまいこと文学に帰結させたところで、この長い日記を終えることにする。

ちなみにタイトルの『夜が足りない』は、別れた後にいつもの友人が送ってきたLINEから引用した。歌謡曲ぽくていい。

 

 

 

 

 

おまけ。

umick.shop-pro.jp

さっきから意味もなく豚肉石を眺めているんだけど...欲しい。でも買ってどうするのよ、やめなさい、と自分に言い聞かせています。

台湾の故宮博物館で見た肉形石もうっとりした記憶が。うっとりっていうか、よだれ出そうっていうか。白菜も素敵だったけどね。

theme.npm.edu.tw

魔界・後編、と見せかけて中編

 

サイゼリヤ、夜が更けてからの話ね。

前編はこちら。

 

minakomovie.hatenablog.com

 

そもそも何時間いるんだよ。まぁアレコレ頼んだから許して欲しい。

 

我々は人間の話をするのが好きである。濃いめの。

人間関係の話になってくると出てくるのが、恋愛的なアレとかハラスメント的なアレとか。(アレとか、ってのは我々の話の範囲が広いのでそう書いておく)

 

どの集団にも不届者っていうのは存在するようで、やれ知人の浮気祭りだの、やれ距離感がおかしいだの、色々と噴出した。

そしてそういった不届者をどうかわすか、という話になった。まずいつもの友人は瞬時にきちんとかわすことが判明した。反射神経抜群である。

Pさんは不快だとか怒りを感じるまでにタイムラグがあり、あとで発散するタイプだという。だが、雰囲気的には強さがあるのでそれなりに回避は出来るらしい。

私はというと、不快を認識するまでにめちゃくちゃタイムラグがある上に、見た目や話し方が舐められやすいせいか、変な目に遭いやすいということが分かった。いや、まぁ前々から分かってはいたのだが。

 

なんだろう、私は反射神経を鍛えればいいの?武術でも習うべきか?

いつもの友人なんて、不届者に面白くダメージを与えるやり方を速攻で考えついていた。彼女は常に人生を楽しもうとしている。見習うべきポイントだ。マイナスにされたメンタルを取り戻す、なんならプラスに持っていこうという精神の強さよ。嫌な思いをさせられたら、楽しみながら吹っ飛ばすのである。

 

Pさんは基本的にバランスが取れているのに、時々天然が顔を出す。元の単語を忘れたが、いつもの友人の言葉を聞き間違えて「青じそ?」と言っていた。しかも2回くらい聞き返してた。普通、ハラスメントの話に青じそは出てこない。(絶対とは言えないが)

そういうところは不届者に好かれそうだが、芯は強めで若干の変態感があるので、一定ラインで跳ね除けられているのだろう。変態感は得体が知れないな、と相手に恐怖を与える。Pさんの変態性の詳細については言及しない。プライバシーだ。あと、勝手に私が思っているだけなので。

 

ちなみに結婚してからは、私には「うちの人」という強めバリアがあるので、そこそこ跳ね除けている。学校一の不良のお兄ちゃんがいる妹が虐められない、みたいな感じだ。存在として圧があるのでありがたい。でも見ず知らずの人には通用しないので、困ったものである。

首からうちの人の写真をぶら下げたら大丈夫か?スマホの待ち受けにする?いや、別に顔を知らしめたらいいってもんでもないな。その前に、純粋にやりたくない。人様を魔除けにしてどうする。どうせなら自分自身のヤバさを主張するべきだ。

 

いつもの友人もこちら側が上回ってヤバくなるしかない、と言っていたな。不届者にはそれを超える不届きな行動をするしかないのだ。…というかね、なんでこちら側が策を練ったり努力せねばならんのだ。不届者はそのヤバイ行為を広く知られて肩身が狭くなって欲しい。切実に。

 

 

そう、私は既婚者なのだが、あとのふたりは独身だ。そして若さもある。私は別に恋愛至上主義者ではないが、人様の恋愛話を聞くのは大好きだ。というか、このふたりの話ならずっと聞きたい。

 

Pさんは知性を愛するようだ。広い意味でだが、おバカな人が嫌というわけだ。これは私もよく分かる。そしていつもの友人も、そんな感じだ。そしてどの部分に知性を感じるかは人それぞれだったりするので、知性は単純に価値観が合うかどうか、とも言える。

Pさんは知性の他に、身体のとある部分の話をしていた。そこ?そこにこだわるの?という感じだった。気にしたことのないポイントを教わってしまうと、今後気になってしまうのが難点である。

 

そういえば、私は美しい身体を見る分にはいいなと思うが、それが恋愛に直結したことはない。顔の造形についてもしかり。「好み」を訊かれると、たいてい考え込んでしまう。

おそらく本当に好みが無いのだ。知性に惹かれるとか雰囲気で何かをキャッチすることはあるのだが、ハッキリと何に惹かれているのかは分からない。マッツ・ミケルセンだけは会ったこともないのに完璧だと思っているが、今まで好きになった人を思い浮かべても、マッツのマの字もない上に顔の系統も諸々の属性も何もかもバラバラだ。

 

私は結婚前、うちの人のことを馬鹿みたいに好きだ好きだと追いかけていた。私は好意を隠して生活することが苦手だったので、好きになるとすぐ口にしていた。公認ストーカーだったのだ。公認っていうのは好意を大っぴらにし、明るく接触する。隠れて家を特定したり、犯罪行為に手を染めたりは決してしていない。まぁ付き纏っていることには変わりがないので、猛ダッシュで逃げられたりもしたが。

でも何がそうさせたかというのは、言葉で説明するのは大変に難しい。やはり好みとかそういう次元ではないんだろう。感覚人間。

 

ちなみに、いつもの友人はPさんのことを愛している(広義)。Pさんもまたしかり、のようだ。すなわち両思いである。私だってふたりのことを愛してはいるのだが、どちらかというと「観察者」という役割に徹しているので、没頭してはいない。

 

で、サイゼリヤに戻ろう。

なんだか分からないがふたりが指を絡めだした。絡めるというか、捕獲。Pさんがいつもの友人を捕獲していた。見たことのない手の握り方である。直角の90度で絡み合っていた。(分かりにくいが、想像していただきたい)

触ったぞ、ようやく。今日は挨拶代わりの触れ合いはなかったが、ここに来てようやくだ。と、なぜか私が心の中で微笑んでいる。好きな人たちがイチャイチャしているのを見るのが好きという趣味。

 

触った、で思い出したが「髪の毛に触れる」「頭をポンポンする」ということについても盛り上がった。その行為が苦手だという女性はそこそこ多いと思う。(そういえば男性には尋ねたことがない)

もちろん関係性にもよるが、かなり親しくても恋人でも家族でも、嫌だという人は一定数いると思う。頭って守らなきゃいけない感じがするし、単に触れた時の感触が嫌なのもあるし、セットした髪に触るな、という場合もあるだろう。

髪の毛自体に神経は通っていないが、あのゾワゾワっとする感じはなんなのか。もしかして神経ではない何かが通っているのか?念?

 

 

と、濃ゆい話をしたところで、ぼちぼち閉店の時間が近づいてきた。ぼちぼち、じゃないよ。長居しすぎだろ。

相変わらずガッシャンガッシャン音を立てて片付けをする店員さんを気にしつつ、さすがに会計をする。伝票を見ると安い。二千円台…?

追加オーダーの伝票が来ていない。いつもの友人が元気よく店員さんに声をかける。そして「計算して!」と元気よく伝票を渡されたが、めちゃくちゃ3で割りやすい数字だった。さてはノールックで伝票をパスしたな?

各々、財布をゴソゴソする。細かいのがあるかなーと探していたら、Pさんが一万円札を出した。え?まさかの奢り?な訳がない。普通に間違えていた。

ふたりとも、ちゃんと手元を見てくれ。カオスなサイゼリヤでテンションがおかしくなっちゃったからか、みんな気分がフワフワしているようだ。(ノンアルコール)

 

レジの方が混み合っているので、しばし待つ。お会計を終えた時に、我々が一番最後になっていることに気がついた。たくさんの店員さんがテーブルを拭いたりしている。

わりとみんな、ガッシャンガッシャンやっていた。たぶんカトラリー入れを開け閉めするのがうるさいんだなぁ、というどうでもいい知識を得たところで、外に出た。

 

 

と、ここまで書いて終わりと思いきや、まだあるんです。あるんですけど、今日は力尽きてしまったので、また後日。

まさかの前・中・後編になるとは。

 

 

 

 

 

おまけ。

エコバッグの中から真っ黄色の小さな蛾が出てきた。なんで。