ちょっと前にひとりでツボに入ったお話。
うちの人と一緒に出かけた時のこと。ほぼ初対面だったある人がこんな風に言った。
「もしかして旦那さんは亭主関白ですか」
亭主関白の人に「亭主関白ですか」と訊いて「はい」と自信満々に答える確率はどのくらいだろうか。たぶん低いと思う。どんな答えを期待して訊いているのだろう。理解が及ばない。
なんにせよ「いいえ」しか返ってこない質問ではないだろうか。それはもう、質問ですらない。
亭主関白と聞いて、さだまさしの『関白宣言』が頭をかすめた。が、正直歌詞をほぼ知らないことに気がついたので、調べて読んでみた。
俺より先に寝てはいけない
俺より後に起きてもいけない
めしは上手く作れ いつもきれいでいろ
それからつまらぬシットはするな
俺は浮気はしない たぶんしないと思う
しないんじゃないかな ま、ちょっと覚悟はしておけ
これはこの曲が発表された時代に於いても攻めましたよね。すごい詩を放ったんだなぁ、さだまさし。
しかも『関白宣言』のアンサーソング『関白失脚』まで作っている。そのタイトル通り、歌詞を読むと家庭内で失脚してしまっていることが分かる。あんなに強気だったのに!
でも、さだまさしが映画制作で背負った35億をコツコツ続けたライブの収入で完済したことを知ると、またこれらの歌の味わいも変わってくる。
別に歌詞を全肯定するわけではない。でも急に35億という金額と映画制作というギャンブルの存在が、私に向かって何かを問いかけてきている気がした。良い悪いではなく、読み方が変わってしまうのだ。
だから、さだまさしって目が笑っていないことが多いのか。(いや、勝手に決めつけてるけども)
歌そのものの背景、歌手の人生を知らなくてもなんら困らない。そういう情報を入れない方が歌を正統に楽しんでいるのかもしれない。
でもこうやって興味を持った時に調べてみると、思いがけない収穫がある。正統がいいとは限らないってことだな。
私は映画で35億も背負えるかな、と考えてみる。しかしすぐに気がついてしまった。私は35億も予算が必要な映画をたぶん思いつかない。人件費をめちゃくちゃ増やして、みんなが数年生きていけるようにする、とかなら出来そうだが。
そもそも私は享楽的ではあるが、ギャンブラーではないんだ。ヒビリなのでその素質がない。
さだまさしって、規格外なんだな。
おまけ。
喫茶店でインドのアティカンを注文したら店員さんに「クセありますけど大丈夫ですか?」と確認されました。
大丈夫です。そのクセのある豆、おうちで頻繁に飲んでます。
別に私自身にクセがあるわけではないのだよ。