先日の記事が暗めだったので、今日は平常運転な記事をアップする。
去年のことだが私はついに「図書館の概念香水」を買った。
香水に興味のない人は「マジで何言ってんの?」状態かもしれないが、そういうものがあるのだ。
『FUEGUIA 1833』というブランドの香水で、お高いのだが絶対に買って損はないはず。図書館を身に纏えるんだよ?買うしかない。…と思っているところに、まさかのセールのお知らせが。
アルゼンチンのブランドなので、サッカーW杯でアルゼンチンが優勝したら、翌日の店舗販売限定で20%オフだというのだ。
そんなお知らせが飛び込んできたものだから、私は期せずしてサッカーを観ることになった。スポーツ音痴なので、日本戦すら流し見だったのに。
ところがどっこい!(これさ、由来は何?相撲?うちの母親がわりと使うんだけども…)はちゃめちゃに面白い試合だった。
人間のアナログな動きで、こんな面白いものがまだあるのかとビックリした。
不純な動機で見始めてごめんなさい、と試合後に心の中で謝った。スポーツ観戦でこんなにジタバタ興奮したの初めてかも。いやはや世界って、人間の身体ってすごいんだな。
そして私は翌日午前中に、眠い目を擦りながら六本木の香水店へと向かった。
向かう先はグランドハイアット。お高いホテルに店舗が…泊まらないとはいえ、六本木のハイアットに何を着て行けば?と庶民の私は思った。と、考えたところで高級な服など持っていないので普段着で出かけた。
六本木駅からヒルズを抜けて無事に店舗を発見した。開店から1時間しないくらいか。既に店舗前には数人の列があった。
お店は狭い上に店員さんがひとりひとり対応するので、しばらく待ってから入店。この店ではフラスコが逆さにたくさん置いてあり、そこに香水が仕込まれている。
あれやこれやと試したのち、もちろんお目当てのものを購入した。
その香水は『Biblioteca de Babel』という。
アルゼンチンの文豪、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの『バベルの図書館』のイメージから作られたものだ。下記の『伝奇集』に収録されている。
私はこの短編がとても好きなのだが、正直ストーリーを理解して追おうとしても、なんだかよく分からない小説だ。
分からないけどものすごく好き。イメージはバンバン湧いてくる。そして、甘美な世界に浸ることができる。「圧倒的に美しい」ということは理解できる。
そういう小説もあるんだなと眼から鱗だった。
ちょっと脱線するが、横浜市中央図書館は建物の形がハニカム構造になっているので、設計した人は完全にこの小説イメージで作ったんだろうと思う。
Googleで航空写真を見るとおっ!となる。できればもっと広大に…とか思うが、それでもあの図書館は大きい方なんだよな。
話を香水に戻す。
肝心の『Biblioteca de Babel』の香りはどんなものかと言うと、最初は杉のような檜のような嗅ぎ慣れた針葉樹の香りが広がる。その後に少しずつ甘みが出てきて、なめした革のような柔らかい香りになる。
さらに肌に馴染んでくると、図書館にいる時に感じる、たくさんの紙の集まりみたいな香りも感じられる。
ほんとか?と思う人もいるかも知れないが、この香りは私が好きな図書館のイメージそのものの香りだ。
実はこの香水以外にも、いくつか図書館をイメージした香りは他ブランドから発売されている。
それらも当然のように試したことがある。だが、いい香りではあるものの、どちらかというと「香水としてのいい香り」に寄っている気がした。当たり前かもしれないが。
私の思う図書館そのもの再現性で言うと『Biblioteca de Babel』が最高なのだ。再現されている上に、心地よい香りなのである。
そもそもの話だが「いい香りだとしても、再現度の高い図書館の香りを身に纏いたいものなの?」という疑問を持たれそうではある。一般的に。
私は本が好きすぎて私設図書館作りたいわ〜とか思うけど今のところ難しいので、自分が図書館の香りを纏って擬似図書館になるんだ!
…という訳でもないが、本に囲まれた時の匂いが好きすぎるので、いつでもその気分を味わっていたいというのがある。
とにかく、『バベルの図書館』は一度読んでみて欲しい。できればその後に、香水も試して欲しい。面白い体験だと思うので。
おまけ。
r.gnavi.co.jp食べに行きたい、台湾料理屋さん。肉圓いいなー。