それなり日記

映像作家、三宅美奈子の日記のようなものです。

計画性はあるのに移ろいやすい人の会

 

昼も夜もカレーを食べるぞ!というお誘いを受けた。

 

私は辛いもの、そしてスパイス大好き人間なので当然のごとくカレーは好物である。連続で食べても飽きないし、ストレスで胃がやられるくせに、カレーの刺激では胃をやられることが少ない。

そんな私なので二つ返事でOKした。というか、誘ってきたのがいつもの友人なので、断るという選択肢は基本的にない。彼女は私が好きなものしか提示してこないからだ。

 

そして今回もPさんが一緒である。(下記の記事参照)

minakomovie.hatenablog.com

 

 

どのお店に行こうかとLINEグループで相談した。

まず文フリの時に作ったグループ名が、カレーを食べる旨の名前に変わった。そこから始まるのが我等っぽい。いつもの友人から文学的なものにだったら適宜変えていい、というお達しが出た。なにそれ難しい。

 

そして私たちは某カレーが有名な街で、ガッツリなスパイスカレーとジェラートを食べることに決めた。ここはいつもの友人おすすめである。私はジェラートを食べたことがあったのだが、カレーは初である。

写真を見ているだけでスパイスの幻臭がする。見た目だけでこんな美味しそうなことあるかね、という高クオリティのカレーだ。

 

夜は若干珍しいフィッシュカレーが有名なお店に決定した。こちらはPさんが気になったとのこと。

魚は魚で良いですよね…魚介の出汁ってなんであんな美味しいんだろう。生魚って嗅ぐと臭いのにね。でも臭いものは美味い、というのはテッパンである。ニンニクだってそうだし、レベルが上がるが納豆だってそう。くさやは知らん。

 

しかし、よく考えたら1日に2食のカレーなんて外食では珍しい。うちの人に「カレーを昼も夜も食べる会に行きます」と告げたら「は?(相変わらずバカなことやってんな?)」という反応だった。うちの人は癖がある性格のくせに常識人だ。

 

 

そして当日。

人気店のため開店時間の少し前に待ち合わせしていた。が、その時間のちょっと前にLINEが入る。もう全員着くところだ。早め行動の3人。

駅の改札を出て、先に居るであろうPさんを探そうと首を動かしかけた時、ズサーッと目の前に本人が現れてびっくりした。映画だったら効果音を足すよ、ズサーッて。そのくらいのスピード感を持って現れた。なぜか一瞬で私を認識できたらしい。謎だ。

 

Pさんはほんと眩しいな。まだ慣れない。目元の情報量にそわそわする。あと5回ぐらい会ったら慣れるかもしれない。(時間かかりすぎ)

 

そのすぐ後にいつもの友人が来た。安定のそわそわしない、いつもの友人である。

暑がりの彼女が珍しく長袖を着ていたのだが、アミアミだった。めっちゃ引っ掛けて穴ができそうな服だなと思ったすぐ後に、既にたくさん引っ掛けていることを自己申告してきた。

アミアミに更に穴。それはもう服と言えるのだろうか…?禅問答だか哲学だか、ただの阿保だかよく分からない問いが頭を駆け巡った。(アミアミって死語だよな。母親世代が使ってたけど)

 

 

駅からお店に移動すると、すでに10人近く並んでいた。

店内は狭いから一巡目で入れないやつでは?と思いながらも、並ぶしかないシステムなので大人しく待つ。日傘をさしたりストールを頭に被ったりしながら暑さをしのいだ。

いつもの友人とPさんは相変わらずお互いを触り合ったり距離が近い。(前出の記事参照)そんなに近いと暑さが増すだろと思うのだが、それはそれこれはこれの模様。

 

と、いつの間にか開店時間になったが、やはり私たちの前の組までしか入れなかった。

ラーメンや蕎麦なら回転も早いだろうが、いかんせんカレーである。私たちは近所のコーヒーをテイクアウトして飲みつつ待つことにした。だって暑いんだもの。

ジャンケンしてPさんひとりがチョキを出したため、残ってもらうことに...ならなかった。私といつもの友人は、その店のコーヒーを飲んだことがある上にブラック一択のため、Pさんは行って選ぶべきという話になった。無駄ジャンケン。

 

かくして私はひとり残り、メニューを見ながら迷っていた。

カレーは三種盛りにするとして、ジェラートの二種が迷いどころだった。どうせなら何種類もスパイスが入っているのがいいような。でもベースの味が好きそうなものも捨てがたい。いっそ全部食べたい。こうやって迷っている時間も食事のうち。前戯ってやつだな。こういうふうに書くと顰蹙を買いそうだが、食事はそもそも、...まぁいいか、そういう話は。

 

ふたりが戻ってきて少し後、ようやく店内に入ることができた。食券を買って注文を終えると、いそいそと奥の席に座った。いい香りのする店内、気持ちが盛り上がってきた。

カレーの提供はわりと早かった。それぞれのカレーの内容と、混ぜても美味しいよ的なこと、レモンの皮のピクルス?みたいなのは酸っぱいから少しずつね、などと説明を受ける。そしてついに!

ひどく大まかに言うと「辛いの普通の辛くないの」の三種盛りを食べたのだが、本当にどれも美味しい。混ぜて食べると味わいが深くなっていくので、スプーンで三種を順に口に入れていく。口の中でスパイスが程よく暴れ、鼻に抜ける。爽快だ。暑い日に最適だよ。

 

ちなみに私はルーとご飯が別盛りの場合、ご飯にはかけないことが多い。もしくは少量ずつしかかけない。たまに豪快にぶわーっとかける人がいるが、そうすると「せっかく別で提供されたのに...」と謎の惜しい気持ちが出てくる。「綺麗なご飯」をなるべく保ちたいのだ。

そんなこと食べるときにいちいち考えるんじゃないよ面倒だな、だいたい口に入ったら同じじゃないか、綺麗なご飯ってなんだよ綺麗って...とセルフツッコミするわけだが、どうにもこうにも治らない。

こんなところで綺麗さを求めてどうするんだろう、部屋なんてめちゃくちゃ汚いのに。

 

話がカレーから逸れたが、みんなモリモリ美味しそうに食べ進めていた。青唐辛子のピクルスを追加できるのだが、それもモリモリ。いつもの友人は頭の毛穴が開いたとか言っていた気がするが、美味しすぎて最初の方の記憶が曖昧な私。

 

突如、Pさんが「酸っぱい」と言い始めた。なんのことかと思ったら、レモンの皮のピクルスの話だ。それはさっき店員さんが説明してくれてたんだよ、気をつけろ、って。Pさんはしっかりしてるかなと思いきや、案外その辺はふんわりしてる。

 

カレーを食べながら、いつもの友人がPさんの仕事・生活について興味津々で根掘り葉掘りしていた。仕事的には私といつもの友人が同じような部類で、Pさんはちょっと違う。気になるのはよくわかる。Pさんはそれに対してきちんと返していく。

 

人は根掘り葉掘り質問されると「めんどくさい」とか「失礼だな」と受け取る場合がある。警戒心が働くんだろう。もちろん関係性にもよるが、質問に対して全力で返ってくることはわりと珍しい。

でもいつもの友人は「警戒心を抱かせないタイプ」であり、彼女の持っている嫌味のない好奇心とか嘘のなさとか、それが他人を巻き込んでいくんだと思う。

私自身はそういうタイプではないのだが、周りにはけっこう居る。テンション高いめで天然っぽさや無邪気さや茶目っ気があり、自分を変に取り繕うことをよしとせず、気がついたら人を惹きつけて自分の味方にしていけるタイプ。

私はそういう人たちを勝手に「ローリングストーン」と心の中で呼んでいる。

勢いよく転がってきたと思ったら、周りの石にぶつかって一緒に転がり始め、方向を変えてしまったり、物によっては遠くに蹴散らしながら我が道をゆく人々。(本来の意味とは全然違うけど)

そうだ、「いつもの友人」って書くの面倒だからRSにしよう。

 

 

…どこまで書いたっけ。

仕事の話をしつつ、なぜか養命酒の話や睡眠の話をし、ジェラートも無事に食べ、満足感とともに店を出た。夕飯のカレーまでは時間があるので、文具と雑貨のお店に向かうことにした。

 

店内は可愛いものがたくさんあったが、ナマケモノのキッチンスポンジが良かった。何がいいってナマケモノの動き、雰囲気が私っぽいから。

Pさんも気になっていたようだが、どちらかというと彼女はナマケモノに似ているのではなく飼っていそう。ワシントン条約で飼えないとは思うが。じゃあ、私を飼ってもらえば解決…別に誰も解決を求めてないか。

 

さらに近くの香りものを売っているお店に寄った。ここは私がいつもいくところだ。ここはいいや、書こうと思ったけど割愛。

 

 

さらに、次は本屋さんへ。ここで3人とも興味を持った本があった。

 

最恐の物件集…とても気になる。

怖い話は好きでも嫌いでもないのだが、「家」という空間が持つ力というか磁場というか、そこに溜まっていく気配のようなものに興味がある。

引っ越しで物件を見たりすると、ゾクゾクする。霊的な意味ではなく、本来は人がいるはずの部屋が伽藍堂だと「不均衡な状態」を見てるって感じで妄想が捗る。

 

ちなみにこの表紙の写真は山谷佑介さんの作品だなとすぐに分かった。好きな作家さんが表紙だとますます欲しくなる。

yusukeyamatani.com

 

そういえば、山谷さんは磯部涼さんとも組んでいたね。

 

私は本屋でもスーパーでもそうなのだが、誰かと一緒に来ていても目の前のものに夢中になり、だいたいはぐれる。はぐれると言っても店内のどこかにはいるし、最終的に合流はできるから何の問題もない。

と、私は思うのだがうちの人は文句を言っていたな。スマホだってあるし、子供じゃないんだから館内放送してもらう必要があるわけじゃないのに。何が困るんだろう。とか言うと余計怒られる気がするので、スーパーでは頑張ってフラフラしないようにしている。

しかしこの本屋では、それぞれがフラフラと本を物色していた。途中で遭遇して手に持っている本を確認しあったりなんだりしながら、また離れたり。我々は漂う原子。

 

 

そして、本屋を出ると問題発生。

RSとPさんが「夜もカレーはキツイ」と言い始めた。正直、私はそこまで胃はやられていなかった。冒頭で述べた通りスパイスに対しては丈夫だ。とはいえ既にふたりがギブを表明している以上、ここでごねる意味はない。

何より私はただの食いしん坊なので、美味しいものが食べられるのであればなんでもいいのだ。「夜もカレーって言ったじゃん!なんでよ!」と号泣する程のカレー愛もない。

 

かくして我々は蕎麦屋の検索に走った。そう、胃が辛い時でも蕎麦は食べられる。

もちろん「走った」は比喩なのでスマホを片手に美味しそうな店を探す。近くに評価の高い蕎麦屋があった。私はよく行く街なのに全く知らなかった。こういう発見は嬉しい。

 

またまた人気店のようなので、開店時間に合わせて向かうことにした。この時点でもう口の中は蕎麦である。早く食べたくて仕方ない。あんなに2食ともカレーだ!と言っていたのに、あっさりと裏切るわけである。...何を裏切ったんだろう、自分自身?

また雑な哲学の問いに迷い込みそうになったので、蕎麦を頭に思い浮かべて集中した。私は自分自身の欲望に忠実なのだ、なにも裏切ってはいない。

 

歩きながら、いつもの友人の仕事の話になる。なんかRSって呼び方が全然馴染まないから、元に戻す。

彼女の仕事上の相談っぽいものを受けながら、蕎麦屋に行くとちょうど開店時間くらいだった。行列もないのでいけるかな...と中に入ると満席。またちょうど我々の前で満席だ。そのまま椅子に座って待つことにした。相談、続行。

私の視点、Pさんの視点、それからいつもの友人の意見を受け入れる速度。わりと円滑な会話だなと思う。かといって、なあなあという訳ではない。わりとタイプがバラバラな3人だとは思うが、通奏低音があるような気もする。じゃないと(特に私は)会話が円滑には進まない。

 

一時間ほど待って、ようやく蕎麦にありつけることとなった。

暑かったからね、冷たい蕎麦にしたよ。あとハイボールも頼んじゃったよ。Pさんも何か忘れたけどお酒を頼んでいた。ビールだったかな。

暑い時はお酒が進む。だが最近は歳のせいかお腹を壊しやすくなった。スパイスは平気なくせにお酒で下すとは。自分で自分の腹事情が分かりかねる。

 

おつまみをちょこちょこと食べながら蕎麦を待つ。もうおつまみの時点で十分に美味しいので、これは期待できる。そしてやってきた蕎麦を見ると、Pさんの天せいろ、かなりボリューミーだ。しかもえのきが扇みたいに揚げられている。なにその見た目。

カレーは食べられないが天せいろは頼んじゃうPさん、やっぱり面白い。しかもおつまみで、とうもろこしの天ぷらもあったのにね。

 

一時間待ってようやく食べた蕎麦は、細くコシがあって人気の理由が分かる美味しさだった。つゆも辛口ではあるものの、主張が強いタイプではないので、ツルツルと蕎麦が進む。たまに、ものすごく甘いのとか鰹節を五年漬けてたのか?みたいな蕎麦の味を邪魔してくるタイプのつゆを出す蕎麦屋があるが、ここは本当に蕎麦を引き立ててくれる感じで好みだった。これはまた行く。

また行くって書いておいてなんだが、私はお酒を飲むとすぐにお腹がいっぱいになってしまうので、いつもの友人に少し蕎麦をあげた。いつもの友人、蕎麦はたいてい大盛りで食べる人だ。蕎麦ならいくらでもいけるっぽい。呼び名をRSじゃなくてSにしようかな、SOBA。

 

蕎麦屋でひとしきり人間関係などなどの話で盛り上がったあと、食後の珈琲を飲みに行くことにした。

私は飲酒後に珈琲かアイスを摂取するのが好きだ。とても良い気分になるし、落ち着く。だがお腹には悪い。飲酒後の珈琲かアイスが腹下しを加速させている気がする。悪習は改めないと、そのうちスパイスにも弱くなってしまうかもしれない。それは困る。

 

困るのだがしかし、欲望に忠実な私は夜でもやっている喫茶店を探した。

茶店巡りが趣味なので、リクエストを聞いてそれっぽい店を提案した。老舗のケーキが売りのところで、珈琲はどっしりとした味の落ち着いたお店。かなり昔に2・3回行ったことがあったが、久々にそこの珈琲が飲みたいと思った。

PさんもSもそこにしよう、と言うので向かう。歩きながら、ちょっと汚い話をした。物理的に汚い話だが、我々の中ではそんなに汚い話でもない、そんな話。...どんな?

 

その話をひきずったまま喫茶店に入ると、運良く空いていた。落ち着きそうなので奥まった席を選ぶ。Pさんが「この席めっちゃいい」と喜んでいる。分かるよ、背中に壁があって囲まれているところは安心感ある。ちなみにSの後ろは大きなガラス張りの窓。私の後ろは別のテーブル。なに、なんかの比喩?何かは全く分からないけど。

それぞれブレンド珈琲を頼み...Pさんがシフォンケーキを注文。え、食べるんだ、食後のデザート食べちゃうんだね。

我々はPさんのシフォンケーキをみんなで食べるためにそれぞれのフォークをもらうか迷い、Sはむしろ同じがいいとか「汚」に引っ張られたままの状態で、濃ゆい珈琲と会話を堪能し始める。

 

そこに、店員さんが頼んでいないのにフォークを持ってきてくれた。「もし同じのが良かったら同じのでどうぞ」とか言いながら。会話が筒抜けじゃないか。我々、爆笑。店員さん、最高。気を利かせつつ、サラッと冗談を言って去ってく感じ。一瞬にして我々の心を掴んだ彼の顔が、マスクと前髪と暗い照明でほとんど分からなかったのは残念だった。

ということはあれだね、今までのアレな話も全部聞かれていたんだね。我々は店員さんに心惹かれたが、彼の方は「なんか酷い会話をしている客がいるな」という認識だったかもしれない。この場を借りて謝罪します。いや、申し訳ないのでまたお店に行きますね。(会いたいだけ)

 

茶店でも人間関係とか、自分が何をどう考えながら行動しているかという、それなりにディープな話をしていた気がする。仔細な脳内の話というか...意識できるギリギリのところの話、みたいな。まぁ夜更ですから、そんな話にもなるよ。私はこういう会話がとても好きだな。

 

店を出る時に、我々はかの店員さんをそれぞれのタイミングで凝視した、と思う。重ね重ねすみません。申し訳ないからまた行くもんね。

 

駅まで歩く道すがら、Sが知り合いに遭遇していた。しかも自転車に乗ったふたり。なかなか引きが強いというかなんというか。

そして改札前で解散となった。午前中から始まり、半日近く。かなり長いな。長くいても飽きないっていうのはすごい。SとPさんが私に飽きているかいないかはさておき、私は箇所箇所で興味津々だったので飽きなかった。ただし全く悪い意味ではなく、何かしらのパワーは消費した気がする。...暑かっただけかもしれないが。

 

 

 

 

 

そんなこんなで、この3名で集まる会は今後も開かれるっぽい。その度に私はブログを書くと思う。面白い人たちの記録、何が起こるか分からない会の記録ってことで。

 

 

 

 

 

 

おまけ。

珈琲も好きだけど紅茶も好き。ここの茶葉は良いですよ。

 

それからここは、今度行ってみようと思っているお店。東京で唯一のロンネフェルト認定ブティックらしい。紅茶のかき氷が食べられるんだよね。

tabelog.com